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zoom RSS 会社と「和解」成立 ご支援ありがとうございました

<<   作成日時 : 2005/07/27 19:29   >>

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全国のみなさまからご支援をいただき、本当にありがとうございました。さる6月に会社との間で「和解」合意をとりかわし、実習生本人は帰国しました。帰国後の中国での本人の安全も確認されましたので、以下に「和解」にいたる経過を、これまでの経緯も含めて報告します。なおこの報告は、「移住労働者と連帯する全国ネットワーク」(移住連)の機関誌「M-ネット」7月号に掲載予定です。【写真は和解合意の際に実習生に謝罪する加害者】
            
By 高原 一郎
(外国人研修生問題ネットワーク福井/ゼネラルユニオン福井支部)

 2月19日、福井県坂井郡坂井町の坪金織物(株)の工場内で中国人技能実習生TO(25才・女性)が実習中、同社従業員K(53才・男性)に暴行を受けた。事件は4月初旬、中国各地においても広く報道され関心を集めたが、6月15日に「和解」が成立し、TOは18日に帰国した。

1.事件の発生

 TOは遼寧省遼陽市から02年5月に「織布運転・製織工程作業」の研修生として来日し、今年の5月12日に実習期間を満了して帰国する予定だった。
事件当日、TOは研修生A、保全係Kと仕事をしていた。A担当の織機にトラブルが発生し、その旨をKに報告し対処を求めたところ、突然、首を掴まれ、力まかせに拳で右顔面を数回殴られ腹部を蹴られた。その上、会社幹部は、右顔面を赤く腫れ上がらせ、腹部の痛みを訴えるTOにたいして手当もせず、「病院に連れていってほしい」という訴えをも「自分で行け」と拒否した。TOは、寮に戻ったものの病院は遠く、身体中の激痛とひどい吐き気にそのまま寝込んでしまった。
 21日夕方、TOは、ようやく病院に行くことができたが、受入組合の遼日産業協同組合(以下、遼日と略)から「日本人に殴られたと言わないように、言えば医者は警察に連絡するから」と事実について口止めされ、やむなく自転車で転んだとして受診した。医師の診断は「胸腹部打撲・急性腸炎・顔面挫傷/今後3日間加療、経過観察を要する」というものだった。TOは、20日から4日間、仕事を休んだが、会社や遼日の催促で、体調不良のまま24日から仕事に出た(4日間は欠勤となり、賃金がカットされた)。
 会社は、医師の診断を知りながら、TOに加害者Kと一緒に従前通りの仕事を続けさせ、一方で遼日に対して、TOの2月中の帰国を打診し、事件の隠蔽を図った。遼日は、反対したものの会社の意を受けて、「口止めを守られないなら即時帰国もある」とTOに言い渡した。このため、TOは、Kにまた殴られるのではないかという極度の緊張感と恐怖、さらに強制帰国の不安の中で仕事を続けざるを得なかった。

2.検察庁への告訴/労基署への労災申請

3月16日、Kを福井検察庁に告訴(4月1日に正式受理)するとともに、福井労働基準監督署に、労働災害認定申請および会社の労基法違反について是正申告(3月23日に是正勧告)を行った。また、同日、会社とKと連帯してTOに誠意ある謝罪を行い、損害賠償・慰謝料を支払うことを求めて、会社に自主交渉を申し入れた。
 TOは、事件以来、吐き気および不安と恐怖で不眠が続き、受診したところ、「急性ストレス障害」、また2週間後には「適応障害」と診断された。これに対して、会社側は、「ストレス障害の診断書は客観性を欠く」「休業中の状態悪化の責任が会社にあるという主張は受け入れがたい」として、何としても自らの非を認めようとしない不当な姿勢を示した。

3.事件解決をひきのばす会社側

 3月23日、会社側は、自主交渉に応じない中、福井労働局の紛争調整委員会に「事業所内で『けんか』が発生し、被申請人から謝罪、慰謝料を求められている」とし「個別労働紛争のあっせん」を申請した。4月13日、あっせんが開かれたものの、謝罪を求める私たちと低額の「解決金」で済ませようとする会社側の主張の差は大きく、あっせんは不調に終わった。会社側は、損害賠償・慰謝料を支払う用意があるとして、要求金額の提示を求めてきた。私たちは「会社・Kはまず謝罪をすべきであり、損害賠償・慰謝料の金額云々はそれからである。また今後、TOが実習復帰するにあたって、どのような安全・安心対策をとるのか明らかにすべきである」と主張した。これに対して、会社側は、「労災申請及び検察庁への告訴を取り下げること」を前提に「暴行は仕事中に起き、会社は安全管理を怠った。TOには責任がないことを文書化する。Kは謝罪文を出さない。また休業補償10万・治療費10万・見舞金30万の計50万円を支払う」と回答。私たちは「Kが謝罪しないのはなぜか。会社としての謝罪内容が不十分。休業補償は最低賃金にも満たず不当に少ない。慰謝料がどうして見舞金になったのか」と質問したが回答はなく、あっせん委員は「あっせん打切り」を宣言した。
 会社側は、次に簡易裁判所に調停を申立てた。簡裁は第1回の調停期日として、5月26日を指定してきたが、この日では、TOのビザはすでに期限(5月15日迄)が切れてしまっている。つまり、会社側は、期日指定などで引き延ばしを計り、ビザの期限切れが迫る中でTOに対して譲歩を迫ろうとしたのである。これに対して、私たちは、期日変更を要求し、結局、11日に調停を行うことになった。

4.団体交渉「和解」成立

 以上のように、あくまでも直接交渉を拒否する会社側に対して、私たちは、TOをゼネラルユニオン福井支部の組合員とし、労働組合として団体交渉を申し入れた。自主交渉を拒否していた会社側も、労働組合の団体交渉要求には応じざるを得ず、5月初旬、団交が行われ、和解を前提に詰めていくことで合意した。しかし、交渉は会社側の無理解、責任回避、ご都合主義などで難航。日数が過ぎていくだけだった。一方、TOの症状は回復せず、私たちはこれ以上日本に留まるのは困難と判断。内容に不十分性を感じつつも、6月15日、加害者Kは、謝罪文を読み上げTOに手渡すこと、また、会社側は、暴行傷害事件に遺憾の意を表明し今後職場内での暴力行為が二度と起きないよう従業員を指導すること、研修・実習生の受入れに際し、関連諸法に違反していたことを認め、遺憾の意を表明すること、Kと連帯して休業補償・慰謝料など計100万円を支払うこと、この合意書とKの謝罪文を工場入口に1週間掲示すること、TOはこれらが履行されて後、Kへの告訴を取り下げるとの和解合意書を交わした。

5.暴行事件は繰り返される

 和解交渉の中で明らかになったのは、会社側が今回の事件にまったく責任を感じていないということであった。和解合意書作成の中で、TOは、「中国人研修・実習生への暴力行為が二度と起きないようにする」旨の文言を入れるように主張したが、会社側は、「会社内での暴力行為であり、中国人実習生という点を強調することはいたずらに人種的な偏向を匂わせるものであり、入れてはならないと考える」として受け入れなかった。
また私たちは、会社側が怪我をしたTOを放置したことも重大な問題と考えるが、会社側は「自ら帰宅し病院にも行っていることからそれほど非人道的な対応だったとは思わない。配置換えについても何ら要求はなかった」と居直っている。今回の事件は「殴るのは教育だ」などと公言する会社の姿勢や対応に見られる民族差別・蔑視が従業員に反映されたものであり、中国人女性に暴力を振るう可能性はKのみならず坪金に働く日本人幹部・従業員全員にあると言える。TOの証言【別掲記事を参照】はそうしたことを正しく見抜いている。「従業員への指導」は、中国人蔑視・民族差別を克服するものでなければ意味をなさない。つまり、会社側が真に反省しない以上、暴行事件が繰り返されることは必至なのだ。会社には5月中旬、新たな研修生が配置されたが、中国人を蔑視し暴力行為を繰り返す会社に研修生・実習生を受け入れる資格があるのだろうか。
 TO事件と軌を一にして、中国国内では反日デモが吹き荒れた。デモの主力は、20〜30代の若者で反日教育が原因と言われている。しかし、私たち自身のことを考えても分かるように、学校で習った事が現実問題にストレートに結びつくことはあまりない。過去の歴史はやはり過去なのだ。あこがれや関心をもって来日した若者が、差別待遇や蔑視で迎える日本社会に直面し、学校で習ったこととオーバーラップした時、過去の歴史が過去ではなくなり、現在の反日・嫌日につながるのではないだろうか。そして、外国人技能実習制度こそ、日々、反日・嫌日を生み出しているのではないだろうか。デモの中に、また組織した人々の中に元研修生・実習生がいるのではないかとさえ思うのである。

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2007/06/23 18:46

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